繙 蟠 録 2010年11月前半
- 2010/11/07 【復刻】中共中央委『調査研究についての決議』 #2/2
三,資料をあつめる方法については,つぎのようなものがあげられる。
第一,敵・友・我三方面の,政治,軍事,経済,文化,社会階級関係についての各種の新聞,刊行物,書籍をあつめて,これを記録し,編集し,研究する。
第二,経験をもつ人たちをあつめて,調査会をひらく。調査会は,毎回,四,五人から七,八人とし,一つの郷,一つの区,一つの県,一つの市,一つの軍,一つの師団,一つの工場,一つの商店,一つの学校,一つの問題(たとえば土地問題,労働問題,ルンペンの問題,宗教的秘密結社の問題など)についてその典型を調査する。典型の研究から手をつけてゆくのはもっとも実際的な方法であり,一つの典型から,さらにもう一つの典型へと,及ぼしてゆくべきである。
第三,農村では,地主,富農,商人,中農,貧農,雇農(作男),手工業者,ルンペンなどの,各階層の生活状態と,その相互関係を,くわしく調査することに重点をおかなくてはならない。都市では,買弁大ブルジョアジー,民族ブルジョアジー,小ブルジョアジー,貧民大衆,ルンペン大衆,プロレタリアートなどの生活状態と,その相互関係を,くわしく調査することに,重点をおかなくてはならない。
第四,種々な幹部会議,代表者会議を利用して,資料をあつめる。
第五,有名人の列伝をつくる。地主,資本家で財産が五万円以上のもの,敵軍・偽軍(売国奴の軍隊―訳註)・友軍の連隊長以上の将校,敵区・友区の県長以上の官僚,敵党・偽党(売国奴の党―訳註)・友党の県以上の責任者,有名な学者,文化人,新聞記者などで,一つの県の内外でその名を知られているもの,秘密結社の首領,教派の首長,やくざものの頭目,有名な俳優,有名な娼妓,在華外人の活動分子,などはすべて,かれら一人一人について数百字ないし数千字の伝記をこしらえておく。これらの伝記は,地区委員会と県委員会の同志が,責任を分担してこしらえる。伝記の内容は,かならず,その人物の実際と一致したものでなければならない。同時にそれぞれの写真を入手するよう,つとめなければならない。
第六,個別的な口頭質問。これには,こちらから人を派遣して質問することもあり,相手をよびよせて質問することもある。幹部に質問し,労働者に質問し,農民に質問し,文化人に質問し,商人に質問し,官吏に質問し,ルンペンに質問し,捕虜に質問し,同情者に質問する,などはみな,これに属することである。
第七,県誌,府誌,省誌などの郷土記録文書,家譜などあつめて研究する。
四,中央と各地の調査研究機関以外にも,全党,全軍および政府の各級機関と全同志を動員して,敵・友・我の各方面の状況についての調査研究に力をそそぐとともに,上級の調査研究機関に,資料を提供すべきである。
五,各級の在職幹部と幹部訓練学校にたいして,客観情勢(敵・友・我の三方面)の理解についての教育をすすめ,客観情勢を比較的豊富に,またたくみに理解している同志をほめ,はげまし,ムダなおしゃべりばかりしていて非実際的な同志を批判する。また,情勢を理解しているうえに,さらに政策にも注意をはらっている同志をほめ,はげまし,情勢の理解もしておらず,政策にも注意をはらっていない同志を批判する。こうして,このような,情勢を理解し政策に注意するという気風と,マルクス・レーニン主義理論を学ぶという気風とを,密接にむすびつける。学習にあたっては,現実を考えずに,ただ条文だけを暗記するような気風に反対し,マルクス・レーニン主義の原理,原則と,中国の社会情勢を理解し,中国の革命問題を解決することとを,たがいに切りはなしてしまう悪質な現象に反対する。また,幹部と学生とにたいして,新聞をよく読むことをすすめ,新聞の読み方を指導し,かれらが,時局の一つ一つの変動を分析するのを指導してやるべきである。幹部と学生とにたいして,国内外,省内外,県内外の種々の状況にかんする実際の資料を提供し,これらの資料と,それからみちびきだされる結論についての講義と研究とを,正規の課目として必要な時間をこれにさき,それとともに,試験をするべきである。
六,各級党機関は,この決議と,七月一日に中央委員会が発表した『党精神強化についての決議』とをむすびつけて,党の委員会と幹部会議にたいして報告をすると同時に,その実施方法について,討議しなければならない。
【出典】中共幹部文献編集委編『思想方法論 改訳増補決定版』五月書房 1951年4月 pp.360-363 ※表記を新字新仮名に変更
- 2010/11/06 【復刻】中共中央委『調査研究についての決議』 #1/2
(中華民国三十年八月一日)
二十年来わが党の,中国の歴史,中国の社会,また国際情勢にたいする研究は,しだいに進歩してきており,しだいにその知識を増してきてはいるが,しかし,まだきわめて不十分であり,大ざっぱで,ふかく理解しようとしない,自己満足的な,主観主義,形式主義的なやり方が,いまなお党内にきびしく存在している。抗日開始以来,わが党は,日本を理解し,国民党を理解し,社会情勢を理解するという面で,大きな進歩をとげており,主観主義,形式主義的なやり方もまた,減っている。しかし,これらの理解したものは,その多くがあいかわらず,大ざっぱなものであり,漫画的なものであって,系統的な,綿密な理解を欠いており,主観主義,形式主義的なやり方は,まだ徹底的にはなくなっていない。二十年来,主観主義と形式主義のために,幼稚と無知識のために革命事業がこうむった損失の重大性については,全党の指導機関とすべての同志たちにまだ,徹底的には理解されていない。延安にやってきて活動報告をする同志たちの多くは,かれら自身が活動している区域の内外の環境について,それが社会階級関係の面であろうと,敵と売国反逆者の面であろうと,友党友軍の面であろうと,自分の活動の面であろうと,ことごとく,系統的な,綿密な理解をもっていない。党内の多くの同志はまだ,調査なしには発言権がない,というこの真理を理解しておらず,系統的な,社会調査こそ,政策を決定する基礎であるということをまだ理解していない。また,指導機関の基本的任務は,情勢の理解と政策の把握にあり,情勢を理解しなければ,政策はかならずまちがったものとなるということを,知ってはいない。そしてまた,日本帝国主義の中国にたいする調査研究が,どれほどゆきとどいたものであるか,ということを知らないばかりか,国民党の,国内外の情勢にたいする理解でさえ,わが党が理解しているのよりも,はるかに豊富であることを知らない。かれらはまた,大ざっぱな自己満足的な主観主義のやり方が,党精神の純潔でないことの,第一のあらわれであって,事実にもとづいて真理をもとめるやり方,理論と実践の密接な結びつきこそ,強固な党精神をもつ党員としての基本的態度であると,いうことを知らない。わが党はいまでは,偉大な革命任務をになっている大政党であり,空っぽなことを極力つつしみ,薄っぺらなことをつとめていましめ,主観主義的なやり方を一掃し,具体的な方法をとって,歴史にたいする,環境にたいする,国内外,省内外,県内外の具体的情勢にたいする調査と研究を強化しなければならない。そうすることによって,はじめて,有効に革命勢力を組織し,日本帝国主義とその手先の支配を,うちたおすことができるのである。この目的のために,とくにつぎの諸方法を決定する。
一,中央に,調査研究機関をもうけて,国内外の政治,軍事,経済,文化,社会階級関係の,各方面にわたる資料をあつめ,これを研究することによって,中央の活動にとっての直接の助手とする。
ニ,各中央局,中央分局,独立区域の区党委員会または省委員会,八路軍・新四軍の上級機関,各根拠地の上級政府には,すべて,調査研究機関をもうけて,その地区にかんする敵・友・我(敵は日本帝国主義,友は国民党その他の抗日派をさす―訳註)の政治,軍事,経済,文化,社会階級関係の,各方面にわたる資料をあつめ,これを研究することによって,その地区の活動の助手とすると同時に,中央に資料を提供する。(続)
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