繙蟠録 I & II
 

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繙 蟠 録 II 2023年5-12月

2023/11/15 読書会『抗日パルチザン参加者たちの回想記』第3回ごあんない

第1回読書会(5月20日)で,「抗日パルチザン参加者たちの回想記」の歴史的背景である1930~40年代の朝鮮人民の抗日革命闘争史を学んだ私たちは,第2回読書会(8月13日)で,3人の参加者からそれぞれの問題意識に基づいた報告,提起をうけて,全員で意見交換しました。
 差別や抑圧,抵抗の闘いの歴史を知り学ぶことは,私たち自身の生きる糧です。他方,日々の対立や諍いの個別・具体は,けっして歴史一般には解消されえず,解決はあくまで個別・具体をとおしてでしかなしえないことも,釜ヶ崎での朝鮮人手配師と日本人労働者との関係にみるように明らかです。
 この点で日本の労働運動,左翼運動が,口先では国際連帯をうたっても実際は,労働組合が「朝鮮人労働者の雇用反対」でストをうつ(戦前の恐慌期),戦争責任で支払うべき請求権資金を「朴にやるなら僕にくれ」とスローガンに掲げる(戦後,日韓条約反対闘争)など,恥ずべき排外主義は克服できていません。「子どもたちを守るために不審者は通報を」といたるところでアナウンスされるなど,百年前の過ちをふたたび三たび醸成するような雰囲気がつくられてきていることも事実です。
 労働者に国境はありません。被害者にも加害者にもなることなく,国際主義を生きるにはどうすればいいのか。私たちは何のため誰のために,抗日パルチザン回想記を読もうとするのか,明確にしつつ議論を深めていきたいと考えています。
 第3回は引き続き,全264話から回想記をいくつか取り上げて,報告者からの報告のあと全員で討議をします。
 ともに読み考え,話し合いましょう。ご参加をお待ちしています。

  • 12月2日(土)午後1時15分~4時半
  • 東京・赤羽北区民センター(JR北赤羽駅徒歩1分)第1和室
  • 参加費 500円(要予約)
  • 主催 前田年昭 電話080-5075-6869
            tmaeda1966516@gmail.com

 報告1 13:30~14:00 キム・ヨンイルさん(福祉労働者)
    いつどこでも革命的警戒心を高めなければならない
     キム・デホン(10巻13話)
    敵を瓦解させて
     チェ・ヒョン(6巻14話)
  14:00~14:15 討議
 報告2 14:15~14:45 前田年昭(組版労働者)
    死に打ち勝ったチョチャンヂュ
     ペク・ハンリム(6巻4話)
   →第3回テキストpdf
  14:45~15:00 討議
  15:15~16:30 全体討議

↓ 画像をクリックすると,案内チラシ表裏pdfを読むことができます。

2023/07/17 読書会『抗日パルチザン参加者たちの回想記』第2回ごあんない

第1回読書会(5月20日)では,「抗日パルチザン参加者たちの回想記」に記された1930~40年代朝鮮人民による抗日革命闘争の歴史について,また訳者・鈴木武さんが翻訳を始めた当時参加していた釜共闘の運動について確認しました。そのうえで,回想記を一読し感じたこと,今この場所にどのように役立てることができるか,参加者全員で意見交換しました。
 今回第2回は,全264話からいくつかの回想記を取り上げ,具体的な描写に即して読み深めたいと思います。3人の報告者がそれぞれの関心に基づき報告,問題提起したあと,全員で討議を行います。
 ともに読み考え,話し合いましょう。ご参加をお待ちしています。

  • 8月13日(日)午後1時15分~4時半
  • 東京・赤羽北区民センター(JR北赤羽駅徒歩1分)第1和室
  • 参加費 500円(要予約)
  • 主催 前田年昭 電話080-5075-6869
            tmaeda1966516@gmail.com

 報告1 13:30~14:00 田代ゆきさん(組版労働者)
    明けてくる明日のために リ・ヨンスク
    熱い心臓 キム・リョンヨン
    〈トルチ〉に関する話 ファン・スニ
    ウァンウグの人民 キム・ヂャリン
  14:00~14:15 討議
 報告2 14:15~14:45 キム・ヨンイルさん(福祉労働者)
    不屈の闘士 リム・チュンチュ
    任務を遂行するまで チャン・サンリョン
  14:45~15:00 討議
 報告3 15:15~15:45 須田光照さん(労働運動家)
    燃える復讐の一念で パク・ソンウ
    我々はこのように武器をとった リ・ヨング
   →第2回テキストpdf
  15:45~16:00 討議
  16:00~16:30 総括討議

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2023/06/14 映画『差別』と日本人の責任

映画『差別』(原題 차별(差別), 監督. キム・ジウン+キム・ドヒ,2021年韓国,91分)を見た。高校授業料無償化は2010年から実施され,対象には国内にある外国人学校も含まれたが,朝鮮学校だけが除外された。いったいなぜ朝鮮学校が「高校無償化」から排除されたのか。日本の政府と国家権力のみならず,差別と排除を支える日本社会の嫌韓・「北」差別がある。日本人民の恥ずべき堕落と運動の衰退がある。映画『差別』は韓国映画であるが,監督のキム・ジウンさんは「歴史的に被植民地と南北分断の責任がある韓国政府と私たちは…」と自らの立場を明確にし,これが全編に貫かれている。結果,私たち旧宗主国・日本人民の,植民地支配と南北分断の責任を正面から問うものとなった。崔有福さんの生き方と負けじ魂は,金敏寛さんとともに心をうつ。「日本人として恥ずかしい」という森本孝子さんの情は私と同じだ。「民族教育を植民地支配の清算としてなすどころか真逆の朝鮮学校排除は歴史への侮辱」という丹羽雅雄さんの理とともに,あるべき日本人の反省の道を示す。清田美喜さんの「理解するためには歴史を知らねば」という言葉は,希望である。映画は,朝鮮学校無償化訴訟を扱ったドキュメンタリーであるが,狭い報道の域にとどまらず,情も理もある映画として,おすすめしたい。

 私は,関西有数の工業都市であり,労働者の街である尼崎で育った。尼崎は,阪神教育闘争の舞台であり,このブログでも2010.5.8付ほかで採り上げてきた。高校生だった私は,当時まだ存命だった方々から話を聞き,記録を読みあさった。全共闘運動の昂揚期でもあったこの当時,私が「反教育」「反学校」という主張に与することができなかったのは,悪いのは教育や学校ではない,教育や学校には,差別を再生産する教育・学校(天皇制と東大),差別と闘う教育・学校(夜間中学,朝鮮学校)があると知ったからだった。とりわけ,この映画にも出てくる阪神教育闘争は,私にとっても原点である。朝鮮戦争の開戦前夜に闘われた阪神教育闘争は,「MP40名来署,責任者逮捕に協力し朝鮮人21,日本人22,計43名を検挙」(尼崎市行政課編『尼崎市警察史』年表)と記され,私はこの1行に朝鮮バッシングとヘイトの吹き荒れる現在の日本社会とは明らかに違った日朝関係史の希望を見いだすからである。

 (M)

2023/05/22 核独占クラブによる茶番――G7サミット

G7サミットが終わった。最も象徴的なことは会期中の5/20の各紙がうち揃って「核廃絶 ヒロシマから一歩」と事実に合致しない翼賛報道に終始したことだった。「平和」を掲げるならば,「抑止力」を強調して,戦争当事者の一方だけを招いて武器支援をうたうことではなかったはずだ。

 これを「失敗」だと評するのはあまりにおめでた過ぎる。戦争は帝国主義がつくりだす。戦争はG7の本質的必然である。G7の本質とは何か。それは,米英仏という核独占国が,先の敗戦国である独伊日,および加という手下を従えた核独占戦争クラブなのである。理念として掲げている「多元主義,自由民主主義」はその本質を覆い隠す煙幕であり,「核拡散禁止」とは核の排他的独占を守り抜くという宣言に外ならない。世界はいま,米ロ中による世界共同支配下にある(米帝国主義とその手先はこれを「国際秩序を守り抜く」と表現する!)。半世紀前は,米ソの世界共同支配に,社会主義中国を中核にした第三世界が対峙するという構図だったが,ソ中の完全な変質と裏切りで一変した。進路を問われているグルーバルサウスの活路は社会主義以外にない。社会主義の旗を掲げ続けるキューバ人民の道こそが,労働者人民の生きるすべである。国家は独立を求め,民族は解放を求め,人民は革命を求める。 (M)

2023/05/21 茶茶羅可笑「叙位叙勲」

毎年4月,11月の2回,叙位叙勲が報じられ,毎回おおむね4,000人が受賞する。勲章には大勲位菊花章,桐花大綬章,旭日章,瑞宝章,文化勲章,宝冠章がある。勲章制度の始まりは,1875年の勲章制定ノ件(太政官布告第54号)公布であり,これが現在の旭日章の基になった。以降,以降,1876年に菊花章,1888年に瑞宝章と宝冠章が制定され,1937年には文化勲章が,当時の内閣総理大臣・廣田弘毅の発案による文化勲章令(1937年2月11日勅令第9号)に基づいて制定された〔内閣府「日本の勲章・褒章」,wikipedia「文化勲章」〕。
 位階は,1926年10月21日,位階令(勅令第325号)によって制定され,敗戦後の1946年に生存者に対する叙勲と叙位は一時停止されたが,1947年5月3日,位階令が改正され,生存者に対する叙勲は1964年に再開された。

 等級は「宮中席次」を表すもので,天皇との距離を意味し,「天皇制が日本社会の人間差別の根源であることを端的に示している」〔原寿雄「人権とマスメディアのあり方―ジャーナリスト意識の質転換を」部落解放研究 : 部落解放・人権研究所紀要 / 部落解放・人権研究所 編 (126) , 1999-02〕。前川春雄(元日銀総裁,1944-89)は,勲一等の内示を受けながら「人間に等級をつける勲章は好ましくない」として,生前も死後も受勲を返上,また,1964年の生存者叙勲復活に際し,皇室指南役の小泉信三(1888-1966)は等級に反対した。政治家や財界人でも心ある人で反対,辞退してきた者は,宮澤喜一(1919-2007),細川護煕(1938-)らがおり,また文化勲章辞退者も,今年3月3日に亡くなった大江健三郎(1935-2023.3.3)をはじめ,杉村春子(1906~1997),城山三郎(1927-2007)ら決して少なくない。にもかかわらず,新聞や放送の扱いはいつも大々的で,特集ページを組む新聞も多い。あからさまな人間差別に目をつぶり,「受勲者の喜びの声」をはじめ大きく取り扱うことに何の疑問も抱かないのか。こういう輩が,アメリカ帝国主義に尻尾をふって,「人権」だの「自由」だの「民主主義」だのと言っているのは,茶茶羅可笑(ちゃんちゃらおかしい)。 (M)


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