繙蟠録 I & II
 

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繙 蟠 録 II 2013年11-12月

2013/12/20 組継ぎ本 追加補講

組継ぎ本の普及にともない間違った理解があるようなので,昨19日に4項目をTwitterで投函しました。

【1】組継ぎ本のページ数は12+8nです。300=12+8×36ですから300ページはOKです。200ページは12+8×23=196ですからダメ,196か204にして。12+8nページにする理由は真ん中切れ込みのBタイプが外側にくると破れやすいため。組継ぎ本は背にかかる荷重をできるだけ均等に分散して持つように,表1側と表4側はAタイプがBタイプを1枚,他はAタイプがBタイプを2枚ずつ包み込んで成り立っています。これが秘訣。だから32ページ本は破れやすいからダメ。例外として表1側表4側各2枚包みで16ページはありです。 元1 元2

【2】同じAタイプ(両端切れ込み)でも外側に来るものと他では包み込むBタイプの枚数が違う。従って段ボールで組継ぎ本をつくるときには,切れ込みスリット幅を変えます。例えば外に来るA1タイプは幅5mmスリット,中間にくる他のA2タイプは幅8mmスリットにするなど,と。

【3】表紙をどうするか。ノリなしで素材の紙だけとの志を生かし並製で工夫します。私は外側のAタイプのみ大きい紙で簡易フランス装を考案してましたが,名古屋の松下 @hokori さん考案の包み込むタイプもカッコいい。皆さんもいろんなプランを工夫して発表してくださいね。

【4】紙の選び方。理論的には何ページものでも可能で,どこを開いても180度開く本を拵えられるのですが,やはりページが増えると荷重が背にかかり,壊れやすくなります。平滑性は犠牲にしてでも,和紙のように比重が軽く,繊維が長めの,破れにくい紙を選んでください。

2013/11/25 賛嘆「その他の短編ズ」

1/17付で森脇ひとみさんの『水のゆめ』のことを書いたが,ソロでもうたうし(『庭に眠る夢』),板村瞳さんとバンドもやっています(その他の短編ズ)。第8回TOKYO ZINESTER GATHERING×SWIM(11月22-24日日,東京・桜台pool)では最終日に出演,友人たちと見に行って,またまた感激して帰ってきました(16:45〜17:45短篇ズ,20:45〜21:30人形劇)。BBB(ビーボーイバラード)はこんな歌です。

HIP HOPのラップを歌う/来世はB-BOYになりたい/優しいB-BOYのほうが好き/私まだ全然B-BOYじゃない

ブリンブリンという首飾りを/買わなきゃ厚底をはかなきゃ/まず化粧をしなきゃ/B-GIRLになる前に人間に/ならなきゃ

できればB-GIRLよりB-BOY/キャップの下にバンダナをまく/見た目だけB-BOYなのは最低/だけど中身だけB-BOYでも/誰にも気づいてもらえない/誰にも気づいてもらえやしない

まだ治ってないケガのまま/常にどこかの骨を折っている/悪いのが時間が勿体無いなら/その時間を捕まえにいく/急いで先に行って取り戻す/何もない影を捕まえにいく/誰にも分かってもらえてない/B-BOYのこと分かってあげられない/HIP HOPのラップを歌いたい/B-BOYの言いそうなこと言いたい/B-BOYでもB-GIRLでも/どっちでもいいから/とにかくB-なんとかになりたい

生きた言葉,シンプルな心からの声がずんずん響いてくるのが森脇さんと短編ズのいちばんの魅力です。何げない日常の「批判」,時空を超えて自分自身を相対化する複眼……,これが2010年代の詩だと私は思い,その誕生に立ち会っていることがとてもうれしく,楽しい。言葉にはこんなにまっすぐな力があったんだと思い直します。長野・松本でやったライブを「Give me little more.」は「二人の女の子がつむぐポエトリーポップ。引き算でつくられた極シンプルなアンサンブルの上で並ぶ言葉の配列がものすごく心地よい」と書いていますが同感です。

 いっしょに行った友人は「1920年代のパリ「シュルレアリスム」当時に発表したら,ダリ,ブニュエル,ブルトンも皆,ぶっ飛んだと思う」と言ってましたが,私はただただ深く頷く以外にありませんでした。

 最新CD『sonotanotanpenz B』は最高傑作です。異国の夜,フー,BBB(ビーボーイバラード),血が止まらない,ワルツ,島の神様,さいごの曲、暗ーい夜,祝日。iTune同期していつでもどこでも終日聴いています!(M)

【12月12日追記】その他の短編ズラジオ「この道はいつか来た道」がYouTubeで始まった(毎週木曜日)。第1回ゲストはやましっとさん。urlはhttp://www.youtube.com/watch?v=XBtwUxjjShk&feature=youtu.be

【1月6日追記】正午の庭さんは「詩と言葉のリズムのおもしろさ、シリアスさとユニークさのギリギリのところを絶妙に縫っていきつつもポップであり、二人の、森の奥でひっそりと木霊するかのようなヴォーカルのかけあい、繊細さにグッときてしまった」と書いている(2013.12.11)がとても的確な表現だと私は思う。


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