繙蟠録 I & II
 

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繙 蟠 録 II 2013年7月

2013/07/31 「組継ぎ本」解説(11) シャープの無残

PDFデータは,USBで持っていてもいいし,あらかじめネットにアップして登録しておいてもいい。あとは定規とカッター,携帯用のカットマットさえあれば,出先の街中のどこででも「組継ぎ本」をこしらえることができる。

 ここで印字品質を決定づけるのがプリンターだ。比較してみよう。左がファミリーマート,右がセブン-イレブンである。元データは同一PDF,見出しは28Q游築見出し明朝体,本文は13Qヒラギノ明朝体プラス游築五号仮名である。

 
 
ファミリーマートローソンはなぜシャープ製品(MX-3610DS)を採用したのだろうか。事実が示すとおり,セブンイレブンの採用した富士ゼロックス製品(DocuCentre-II C4300 MP)とは比較にならぬほど劣るが,シャープはあるいはファミリーマートとローソンはこの事実を知ったうえで使い続けているのだろうか。印刷の歴史とユーザーをなめているとしか思えないではないか。(M)

2013/07/29 「組継ぎ本」解説(10) コピーレフト

「組継ぎ本」の技法はコピーレフトであり,これは当初からの宣言である。最近,この趣旨への深い理解および技法自体への正確な理解にもとづいて「解説図」と「面付け計算機」を拵えてくださった方々があらわれた。私は深い敬意と感謝をもってここに記録し,紹介しておきたい。

 「解説図」は7月25日23:17にゴ‏@guilloid さんがツイートされた。【前田年昭さんの「組継ぎ本」がとても素晴らしいのでざっくり解説図を作ってみた。もとがコピーレフトなのでこの画像も同様。夏コミも近いのでコピー誌など作られる方はいかがでしょうか。 pic.twitter.com/gHUejU45ie 】。わかりやすく,しかもツボがおさえられている。感謝!感謝!

 「面付け計算機」は7月28日17:59にOE Waku‏@wakufactory さんがツイートされた。【前田年昭 さん (@koueihei ) の組継ぎ本用の面付け計算機を作りました。 http://wakufactory.jp/misc/kumitugi/calc.html …】。簡単に設定ページごとの面付けが得られる。感謝!感謝!

 コピーレフトについては機会があれば述べるが,とりあえずは拙稿「装丁/ブックデザイン/書物はだれのものか」2003年9月と「技術が〈人間と労働〉にもたらしたものへの問いかけ~歴史のなかの知恵蔵裁判~」2000年11月を参照いただければ幸いである。(M)

2013/07/27 「組継ぎ本」解説(9) 補講-3 あそび

5/8付でAタイプ,Bタイプの切り方を説明したが補足しておきたい。

 なぜBタイプの切り口が幅0.5mmなのか。Aタイプは幅を持たせなくてもいいのか――という問題。ノドアキをとらなくてもいいというのは理論値,実際は物質としての紙には厚みがある。したがって,その2枚分の厚みプラス少しのあそびでO.5mmというわけで紙厚によって違ってくる。「あそび」とは『新明解』によれば「機械の連動して動く部分に設ける,運動をゆるやかに起こさせるための余裕。」とある。薄ければ幅なしの切り込みで長さ方向のあそびのみでもOK,厚くなるにしたがってBのみ幅を持たせた溝にし,さらに厚くなるとAも溝幅のある切れ込みに,さらに厚くなるとABとも溝幅を拡げて……,と動的に決定される。

 5/8付の切れ込みの長さをA,B足すと
  30.5+151.0+30.5=212.0(mm)
となって,A4判仕上がり短辺の210.0mmとあわない――という問題。これもあそびをとってあるわけである。組んだ後,揃えてトントンとやって天地を揃えると気持ちがいい。頁数がかなり多い場合や,変形の場合は,天地小口の三方を断裁したくなるだろうが,組継ぎ本が紙以外の材料無しでコンビニプリンタでという窮極の無から出発したので,仕上がりサイズのコピー用紙を仕上げ直す必要はなかった。

 A4判の紙からこしらえるA5判冊子の場合,なぜAタイプの切り込み長さが30.5mmなのか,B5判の紙からB6判冊子をこしらえる場合などの他のサイズではABの切り込み比率はどうすればいいのか――という問題。結論を先取りしていうと,現時点では私の経験値でしかない。紙質にもよるが,Bタイプの天地それぞれのつながった部分は最短でも25.0mmから30.0mmは必要で,これより短いと組み継ぐときに破れやすくなる。逆に長くとると,背の強さと美しさを作りだしている袋(AがBを束ねて包んでいる)部分の割合が短くなって天地のピラピラした部分が長くなってカッコ悪いのだ。

 いずれにしても,文字の組版と同様に,かなり細かく設計したうえで動的に余裕をもたせることに組継ぎ本をカッコよく仕上げるポイントがある。(M)

2013/07/26 「組継ぎ本」解説(8) 補講-2 両面印刷

両面印刷はちょっと前までは印刷業者さんの縄張りだったが,給紙・紙送りの格段の改善によって個人に手の届くところまで近づいてきている。少部数ならば,コンビニの活用によって,いつでもどこででも印刷できる。セブンイレブンにはネットプリント,ファミリーマートにはネットワークプリント,ローソンにはPrintSmashがあり,USBなどで持ち込むデータは1枚10円,ネットで登録したデータは1枚20円で出力できる。

 セブンイレブンのネットプリントでは,ネットプリント活用術 Vol.1-10などの説明を読み込んでいただきたいが,PC用,スマートフォン用のアプリを入手しておけば万全である。私がサンプルとしてこしらえた組継ぎ本版『組版の哲学を考える』(28頁)を登録してあるので(8月2日まで),練習を兼ねて出力していただければ理解が深まると思う。

  1. 店舗へ行き,ネットプリントを選択,20×14=280円を入れてプリント予約番号15044978を入力する。
  2. すべてのページを印刷,白黒,A4を選び,2枚を1枚→しない,両面→短辺とじ,小冊子→しないを設定する。
  3. これでプリントすれば,組継ぎ本面付け済みの両面印刷が出てくる。
ぜひ試してください。(M)

2013/07/25 「組継ぎ本」解説(7) 補講-1 面付け

組継ぎ本はいくらでも頁を増やすことができる。しかし面付けがいっけん難しそうにみえる。これは,頁を増やす際に「返し縫い」のように2頁ずつもどってから組み継ぐリズムがつかめていないからである。

 解説(2) 組み継ぐ(7/15付)を再読願う。最初のAタイプの面付けが「1 6(裏は,5 2)」となって1から6へとプラス5になる理由は間にBタイプが1枚(p.3-4)入り込むからである(何頁ものであれ,最初と最後のAタイプの袋のなかにはBタイプが1枚入る)。6の次は7だから次のAタイプは「7 14(裏は,13 8)」。ここで最初と最後を除く途中はすべてプラス7(7+7=14)になる理由は間にBタイプが2枚(p.9-10とp.11-12)入り込むからである。

 組継ぎ本は12頁を“根(種)”として8頁ずつ増やしていく技法だ(7/14付)としたが,4頁増やしてトメてもまあ悪くはないのである。なぜそうしないかというと発表まで約半年の試行錯誤のなかで,端(最初と最後)にBタイプを包み込んだAタイプを持ってくることによって,格段に強度が増すからなのである。端にBタイプを持ってくると組まれずに孤立したペラ1枚がむき出しになるため破れやすく,造本が弱くなる。

 かつて私は「組版は孤立を避ける技術である」と言ったが,文字を排列する(=組版)場合と同じように,頁を束ねる(=造本,製本)場合もまた“孤立を避ける”ことが重要になってくる。まずは隊伍をしっかりと組むことから始めるというのは,人と人が徒党を組む場合とまったく同じである。

 話を戻そう。Bタイプは例外なくプラス7で進む。「3 10(裏は,9 4)」「11 18(裏は,17 12)」……,と。これは間にAタイプが2枚ずつ入り込むからである。少しは面付けがわかりやすくなっただろうか。(M)

2013/07/21 「組継ぎ本」解説(6) 研究課題

さて,いくつかの留意点あらため研究課題である。現在の研究課題は次のとおり。

  • 面付けがチト難しい。たとえば20頁(Aタイプ3枚+Bタイプ2枚)頁を28頁に増やす場合,元の最後の2頁が変更になり,p.19はp.21に,p.20はp.22に変わる(返し縫いの理屈)。増やす前の部分にまで変更が及ぶ製本形式はたぶんこの組み継ぎ本スタイルだけでないか。私は頁数ごとの面付け設定ファイルを準備している。
  • 手間がかかる。とくに組み継ぐ工程(7/15付)はハンパない。折りと切り込みは機械化可能にしても,ひとりあたり1000頁/時には及ばず,何らかの道具か機械を開発することなく手作業のままではコスト的につらい。同人誌やジン,会議のレジュメ資料などでは十二分に活用できるのだが。
  • 両面印刷の問題。昔のことを思えばプリンタもよくなったが,トンボ付原稿をプロの印刷機で刷るのでなくコンビニなどのプリンタをつかう場合はいくつか注意が必要である。pdf印刷はセブンイレブン(富士ゼロックス)がファミマやローソン(シャープ)より優れていることは前に述べたが,店舗ごとの状態が異なっているために必要部数をいきなり刷り始めるのではなく,試し刷りの必要がある。

心ある人びとの知恵と力で解決していきたい。(M)

2013/07/18 「組継ぎ本」解説(5) 和本と洋本

またまた予告とちがって申し訳ないが,ここで「組み継ぎ本」をなぜ和洋の融合と強調するのか,壽岳文章による味わいの深い一文を紹介しておきたい。以下がその内容である。

書物の発生

紙が書物の形態を規定した。これは紙の性質によって,中国や朝鮮あるいは日本で発達した袋綴じ型と,西欧で発達した両面印刷型と,二つの系統が立てられる。かりに前者を東洋型,後者を西洋型と名づけて,その相違をくらべてみると,いろいろおもしろい結果が見られる。たとえば,東洋型の背中は解放的で,特別な場合を除き,一部分にのみ裂〔キレ〕または紙片をつけて装飾と保護とを兼ねさせ,全部を蔽ってしまうことはない。しかるに西洋型のは必ず背中の全部をかくし,かつ見返しをつける。本文にしても西洋型は左上からはじめて右に伸び,各行は横に下方へ発展するのに反し,東洋型では右上からはじまって左に及び,各行は縦に移ってゆく。頁の余白にしても,東洋型は上に多く,西洋型は下に多い。用紙の性質がこういう相違をもちきたすのである。西洋の紙は,手漉きのも機械すきのも,繊維の処理がこまかいため緻密堅厚で両面印刷が利くのに対し,東洋の手漉き紙は繊維が長く粗放で,かつ板張りの関係上どうしても裏表ができ,厚葉紙でも片面しか印刷ができない。長所や欠点はどちら側にもあろう。目方の軽いのは和本などの長所であるが,片面がまったく無駄になっていること,背中が保護されていないためそこから傷みやすいこと,表紙が柔かなので立てるわけにゆかず,いつも赤ん坊のように寝かしておかねばならぬこと,などは保存整理上不利な点である。西洋のは背中が保護されているので綴じのくずれる心配はないはずだが,製本に手を抜いた場合――この場合がはなはだ多いのである――中味と表紙がばらばらになって,中味が醜い背中をさらすことがある。こうなると,最初から背中をきちんとさせている東洋型にもなかなかすてられぬ美点が見つけられる。形態という点では,東洋型・西洋型がもっとたがいの長所を活かしあうべきではあるまいか。もっとも,西洋のある好事家の造った豪華版に,きわめて分の厚い西洋紙を使っていながら,わざわざ二つに折って袋綴じにし,なおごていねいに袋の片面だけ印刷して残る四分の三を無駄にしているのなどは,はなはだ困りものである。
 パルプ工業の発達は,一応私たちの間からでさえ東洋型の書物を消滅させ,いまや世界中の書物が,横書きと縦書きの区別はあっても,だいたい同じような体裁をもつようになった。パルプで漉いた紙ははなはだもろく,これで作った書物の生命もまたしたがって短い。しかし多量に印刷され翻刻され複製されるから,文献の伝承という点では,それほどの心配はなかろう。問題は,世界のパルプ資源が刻々に減少してゆくおりから,いかにして耐久力のある紙を,安く,多量に,しかも書物に向くように作るか,にある。書物が紙に頼った時代はもう過ぎようとしているとの観点から今後の書物を,光学や音響学の発展と結びつけて再出発させようとの大胆な試みも,アメリカあたりには行われているようである。しかしながら,樹皮やパピルスや羊皮紙の時代を経てついに今日の形を取った紙の書物は,すでにそれ自身の工芸的な美しさをそなえている。ベークライトはどこまでもベークライトであってついに陶磁器の代用とはなり得ないと同様に,よしどんな新しい形の書物が生れるとしても,従来の紙の書物は残るであろうしまた残すべきであるし,また残るに値するだけの数々の美点をもっているのではあるまいか。書物が大学を無用にするとの論に賛意を表し得ない私は,また,マイクロフィルムの普及が在来の書物を無用にするとの論にも賛意を表することができない。どちらの場合も,高貴な人間性をふみにじっているからである。私はあくまでも書物本来の姿をつきとめ,そのあるべき座に安らかならしめたいと願う。

引用元:『書物の世界』1949,朝日新聞社(『壽岳文章書物論集成』1989,沖積舎)
参照:(KDU組版講義)組版・タイポグラフィ論「紙寸法と単位」PDF)

2013/07/17 「組継ぎ本」解説(4) 特徴(長所)

ここで予定を変更して,組継ぎ本の特徴(長所)をみておくことにする。

  • ホッチキスもノリもセロテープも使わない。ホッチキスのように錆びて紙を傷めないし,ノリのように硬化して“割れる”こともなく,セロテープのように乾いて剥がれる心配もないのである。
  • ノドアキを確保する必要がない。見開き画像などを二つに分けて,ノドアキを取って…という作業はおさらばだ。視覚単位の見開きを存分に使える。
  • ヒラキはどこを開けても180°,コピーを取るときに本がこわれないか心配する必要もなく,また,中央にカゲが出ることもなくあたかも1枚のようにコピーできる。

  【上左】背は折り目が揃い,和本の小口側のような感じになる(写真は68頁モノ),【上右】【下左】ノドアキなしで見開き画像も自由自在,どこを開けても180°これが真の“広開本”,【下右】見開きを同じ行送りで通すなんてことも(これは28頁モノ)
 

さて寄り道したが次回は“「組継ぎ本」解説(5) いくつかの留意点”です。(M)

2013/07/16 「組継ぎ本」解説(3) 頁を増やす

本は組版であり,小説は文体であり,スタイルこそがカナメである。ということで,組継ぎ本技法解説の(3)です。

 前回までで20頁の小冊子ができました。組継ぎ本は,後からでも頁を増やすことができます。増やす単位は8頁,1枚裏表で4頁ですから2枚です。手順は次のとおりです。

  1. 両端切り込み(Aタイプ)を1枚,用意し,23 28(裏は,27 24)と面付けします。中央穴あき(Bタイプ)を1枚,用意し,19 26(裏は,25 20)と面付けします。
  2. 20頁ものの最終の1枚(Aタイプ)を面付け変更します。19→21,20→22に変更,15 20(裏は,19 16)は,15 22(裏は21 16)にします。これが(1)で返し縫い(バック・ステッチ)のようと表現したゆえんです。
  3. 前回の「8頁を組み継ぐ」を繰り返します。まず現在は見開きの最後が「21 16」になっています。21は両端切り込みタイプですから上下それぞれ軽く手前に丸めます。
  4. Bタイプの「19 26」の外側(山折り側)を折った状態のまま(=19が手前)で中央の穴を広げ,そこに1.で丸めて縮めた「21」を外側から差し込み,通してから拡げて組み合わせます。
  5. こんどは見開きの最後は「25 22」です。25は中央穴あきタイプですから,ここに内側からAタイプ「23 28」を天地の背が縮むように軽くS字状にふわっと曲げて27を頭にして差し込み,半分ぐらい差し込んだところで,切り込みを上下に延ばします。
  6. ノンブルを確認したうえで,天地をそろえ直し,28頁が出来上がり。

次回は“「組継ぎ本」解説(4) いくつかの留意点”です。(M)

2013/07/15 「組継ぎ本」解説(2) 組み継ぐ

本は組版であり,小説は文体であり,スタイルこそがカナメである。ということで,組継ぎ本技法解説の(2)です。

 20頁の場合で説明します。20頁をこしらえるためには,12頁の根(種)をこしらえ,これに8頁を組み継ぎます。

◆12頁の根(種)をこしらえる

前回解説どおりの面付け,および切り込み(切り込みの説明と図解は05/08付)が準備できているとします。両端切り込み(Aタイプ)が3枚,内訳は,1 6(裏は,5 2),7 14(裏は,13 8),15 20(裏は,19 16),中央穴あき(Bタイプ)が2枚,内訳は,3 10(裏は,9 4),11 18(裏は,17 12)です。また,A,B両タイプともそれぞれの紙のなかではノンブルが順になるように折っておきます。

  1. Aタイプのはじめの2枚を重ねます。「7 14」の上に「5 2」を重ねるのです。最初の1と最後の14が向かい合って接するように,です。
  2. Bタイプの「3 10」の外側(山折り側)を折った状態のままで中央の穴を広げます。
  3. 1.の2枚を重ねたまま天地の背が縮むように軽くS字状にふわっと曲げて「7 「5 の側を頭にして,2.の穴に差し込みます。
  4. ほぼ半分ぐらい差し込んだところで,切り込みをBタイプの中央に組みあわせるように,上下に延ばします。
  5. ノンブルを確認しながら,いったん冊子として天地をそろえます。

◆8頁を組み継ぐ

  1. 見開きの最後が「13 10」になっています。13は両端切り込みタイプですから上下それぞれ軽く手前に丸めます。
  2. Bタイプの「11 18」の外側(山折り側)を折った状態のまま(=11が手前)で中央の穴を広げ,そこに1.で丸めて縮めた「13」を外側から差し込み,通してから拡げて組み合わせます。
  3. こんどは見開きの最後は「17 14」です。17は中央穴あきタイプですから,ここに内側からAタイプ「15 20」を天地の背が縮むように軽くS字状にふわっと曲げて19を頭にして差し込み,半分ぐらい差し込んだところで,切り込みを上下に延ばします。
  4. ノンブルを確認したうえで,天地をそろえ直し,出来上がり。

次回は“「組継ぎ本」解説(3) 頁を増やす”です。(M)

2013/07/14 「組継ぎ本」解説(1) 面付け

組継ぎ本を特殊な16頁ものから登場(05/08付)させたせいか,わかりにくくなったかも知れません。組継ぎ本は12頁を“根(種)”として8頁ずつ増やしていく技法です(いくらでもOK)。12+8n頁です。4頁で紙は1枚ですから,紙の枚数は必ず奇数になります。

 両端切れ込みタイプのもの(A)と中央穴開けタイプのもの(B)――の2種類のうち,Aの枚数をBの枚数より1枚多くして,面付けします。面付けは頁数を増やすに従って,最後の部分だけが変化します。返し縫い(バック・ステッチ)のようにして,紙を組み継いでいくためです。

 わかりやすくするため裏は省略して説明します。まず,28頁の場合,Aは,1 6,7 14,15 22,23 28となります。最初と最後だけが+5(間に1枚入るから),途中は+7(間に2枚入るから)です。52頁の場合は,Aは,1 6,7 14,15 22,23 30,31 38,39 46,47 52です。Bはその残余と考えてください。28頁の場合,Bは,3 10,11 18,19 26となります。こちらはつねに+7です。52頁の場合は,Bは,3 10,11 18,19 26,27 34,35 42,43 50ですね。

 もう何頁ものでも面付けは大丈夫ですね。100頁だとどうなるでしょうか?

 100頁の場合,
Aは,1 6,7 14,15 22,23 30,31 38,39 46,47 54,55 62,63 70,71 78,79 86,87 94,95 100,
Bは,3 10,11 18,19 26,27 34,35 42,43 50,51 58,59 66,67 74,75 82,83 90,91 98です。

 次回は“「組継ぎ本」解説(2) 組み継ぐ”です。(M)


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