『悍』第3号刊行記念討論会

フリーターの敵はだれか

フリーター運動におけるアジア的抗争の可能性

崔 真 碩(「野戦之月海筆子」役者,翻訳者)
小野俊彦(フリーターユニオン福岡執行委員)
植本展弘(noiz,『アナキズム』誌編集委員)
    (司会 『悍』編集人 前田年昭)

◆趣旨◆

 2008年末の「派遣村」や『蟹工船』ブーム……,いっときの憐憫に満ちた過熱報道は冷め,格差社会批判は既に本質を隠蔽されたまま意味を消費されたかにも見える。他方で,自らの現実を直視できず,妬みや僻みを弱い者いじめで晴らそうとする右翼フリーター運動も生まれている。

 フリーター運動の敵はだれなのか。自らの生や労働を主体的に意味付けようとする「運動」の火種はどこにあるのか? プロレタリアート,ルンペンプロレタリアート,労務者,自由労働者,等々からフリーター,プレカリアートまで,さまざまな名乗りの系譜がある。

 現在において,われわれは何者を名乗るのか? とりわけ,「格差社会」に批判的な元弁護士や元労働組合幹部が閣僚に名を連ね,「リベラル」とされる新政権に交代したいま,われわれの名乗りが真の民衆の名乗りとなる可能性はどこにあるのか? 民主党が以前から唱えていた「東アジア共同体」論は,資本の要求としての「人の移動」下における「国民」再編の一環ではないのか。右翼フリーター運動は敵味方を日本対反日に区分するが,金持対貧乏人あるいは優等生対劣等生,貴族的プロレタリアート対ルンペンプロレタリアートに敵味方を見るわれわれは,その日本とせめぎあってきた「アジア的抗争」としての抗日反日の歴史を再開すべきなのか。「日本資本主義」を破砕する道はどこにあるのだろうか?

 在野の批判精神復興をめざす思想誌『悍』第3号で互いに論議を呼び起こしている三人を囲んで語り合う。

日時:2009年11月22日(日曜)17時30分~20時30分

場所:小石川後楽園「涵徳亭」広間

文京区後楽1(JR総武線「飯田橋」東口,地下鉄東西線・有楽町線・南北線「飯田橋」A1出口徒歩8分,大江戸線「飯田橋」C3出口徒歩2分)
地図 http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/access030.html

参加費:500円

主催:『悍』編集委員会

協賛:『アナキズム』誌編集委員会

◆鼎談者紹介◆

崔真碩(ちぇ・じんそく)

1973年ソウル生まれ。神奈川在住。翻訳者・役者・文学者。青山学院大学非常勤講師。「野戦之月海筆子」の役者。編訳書に『李箱作品集成』(作品社),主な出演作に野戦之月海筆子『棄民サルプリ』(2009年10-11月東京)『変幻痂殻城』(2007年7月東京,9月北京),主なエッセーに「影の東アジア」(『現代思想』2007年2月号),「野戦之月海筆子になる」(『悍』第2号)「腑抜けの暴力」(『悍』第3号)など。

小野俊彦(おの・としひこ)

1974年北九州生まれ。九州大学大学院比較社会文化学府単位取得退学。大学院末期には朝鮮戦争期の北九州における港湾労働社会史を志すも諸事情により研究中座。2006年に誰でも一人でも不安定でも入れる労働/生存組合「フリーターユニオン福岡」を立ち上げ,現在同執行委員。エッセーに「「プレカリアート」に工作を」(『悍』第2号)「「フリーター」から「民衆」へ まだ見ぬわれわれへの生成法」(『悍』第3号)など。

植本展弘(うえもと・のぶひろ)

1973年神奈川生まれ。『アナキズム』誌編集委員。フリーター全般労働組合員。反戦運動や合同労組の運動に合流するも現在は裏方で若干協力するていど。ひところ民衆史学徒を志したものの賃労働に流され現在にいたる。「暴民哭々 近代成立期民衆の〈公怨〉について」(『悍』第3号)のほか,noiz 名義での論文に「無縁の蜂起 規制を突破する一味同心」「「アナ/ボル」再論序説 津村同志の呼びかけに応えて」など。同名義での近刊に『アナ・ボル論争論序説』(北冬書房)。


◆資料◆

 →フライヤー A4両面[PDF]
 →討議資料小冊子 A6判8頁[PDF]


◆参加者からのコメント◆

 →北原葉子さん「どう集団として自分を位置づけるか 討論集会の感想」

2009-10-22(2009-12-27追加)

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