- 新田滋(東京大学大学院・茨城大教員)の存在を知ったのは,御茶の水書房から出版された大著『段階論の研究』を書店で見た時である。宇野学派いまだに健在なのか? 資本主義の今日を宇野原理論が如何なる段階として捉えたのかと買い求めてみると,予想に反し“システムとしての資本主義”の立場から国民経済学の延長的発展と捉える立場を否定,世界経済を捉える立場をとっている。つまり岩田弘の世界資本主義論を先駆的として評価しつつも,ウォーラーステインの“システムとしての資本主義論”を摂取している。
昨年十一月二十三日,拙著の出版記念会に出席され,三ブロックのテーゼは誰が創案したのかと聞かれたことから,ウォーラーステインとの関係も知ることとなった。彼は一九六二年生れ,一九八〇年代に大学生となり,ダメなものはダメと明言する異色の,若い世代には珍しいマルクス理論の研究家である。(さらぎ徳二)
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