『悍』第4号 p.133
左翼再生処方 精選18章
解題
ここに引用した一八の抜粋は,日本の左翼運動と反権力運動が抱えている問題を共に考えるために選んだものである。
「旧い」と言うなかれ。『anan』セックス特集に一昨年亡くなった飯島愛さんが登場するように(!),今回,“左翼のダメなところ”を考えるために必要なものと考えたのである。
左翼運動と反権力運動は,現在の社会に異議を申し立てるだけでなく,この社会を転覆して新しい社会を拵えることを目指す。左翼運動の組織のなかでは,否定すべき現在の社会と異なる価値観の関係が取り結ばれる必要がある。たとえば,“ノン”をつきつけるべき現状の社会を東大出がハバをきかせるものと捉え,批判するなら,左翼運動組織のなかでは東大出はハバをきかせるべきでないということである。その内実が組織の魅力を決める。
といっても,容易ではない。実際,左翼運動の組織の現状そのものが,“組織嫌い”を生んでいるのだ。「理想論」だと言うなかれ。この社会でハバをきかせている物の見方,考え方はこの社会でハバをきかせている階級の物の見方,考え方である(唯物論と国家学説)。支配階級への抵抗を心に決めたとき,すでに私たち自身の考え方は支配階級の思想に染められている。また,本気で権力と闘えば,敵権力の物の見方,考え方が不断に入り込む(対立物の相互浸透)。かくして,社会を改造しようと思えば,私たち自身の骨身に染みついた物の見方,考え方を変え,生き方を変えねばならない。じっくり読み,考え,物を見る眼と感じる心を取り戻そう。(M)
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